『防災学原論』は、自然災害という言葉の一般的な理解に一石を投じ、災害を単なる自然現象ではなく、人間社会の脆弱性という視点から深く考察する書籍です。2010年に築地書館から刊行された本書は、翌年に発生した東日本大震災を予見するかのように、社会構造が災害に与える影響の重要性を提示しており、現代の防災・減災を考える上で不可欠な視点を提供します。
防災学原論の基本情報
| 書名 | 防災学原論 |
|---|---|
| 著者 | ベン・ワイズナー/岡田憲夫 |
| 出版社 | 築地書館 |
| 発売日 | 2010年12月 |
| ISBN | 9784806714125 |
| ジャンル | 人文・思想・社会 |
| 価格 | 30,800円(税込) |
防災学原論はどんな本?
本書は、ベン・ワイズナーらの原著を岡田憲夫が監訳したもので、災害を自然現象そのものと同一視する従来の考え方に異を唱えます。自然の力がどれほど大きくても、人間社会の対抗能力が高ければ災害にはならないという前提に立ち、人々を死に至らしめる仕組みや社会を「脆弱」にする要因を分析しています。『脆弱性の根源的な原因』『危険な環境』『資源や機会の得やすさ』『生業』という四つの概念を軸に、より安全な社会を築くための具体的な指針を示すことを目的としています。アジア、アフリカ、ラテンアメリカなど世界各地の多様な災害事例を取り上げ、脆弱性の現状と対策、問題点を詳細に論じています。
防災学原論の内容と読みどころ
特徴1
災害の概念を再定義し、自然現象だけでなく人間社会の「脆弱性」が災害を引き起こす本質的な原因であると指摘しています。
特徴2
「脆弱性の根源的な原因」「危険な環境」「資源や機会の得やすさ」「生業」という独自の分析枠組みを提示し、災害のメカニズムを多角的に解明します。
特徴3
世界各地の具体的な災害事例を豊富に紹介し、地域社会における防災政策や脆弱性削減に向けた実践的なアプローチと指針を示しています。
この本がおすすめの人
この本は、災害の本質的な原因を深く理解したいと考える防災研究者や実務家におすすめです。また、地域社会のレジリエンス向上に関心を持つ市民活動家や、開発途上国の災害問題に関わる国際協力関係者にとっても、多角的な視点と実践的な示唆を得られるでしょう。社会学、地理学、環境学などの分野を学ぶ学生にも有益な一冊です。
防災学原論の評判・口コミ
『防災学原論』は、災害を社会的な脆弱性の問題として捉え直すという点で、防災分野に新たな視点をもたらしたと評価されています。多くの読者や専門家からは、災害を「人災」として認識し、脆弱性を減らす努力の重要性を理解するための共通言語や概念を豊かにするガイドブックとして高く評価されています。特に、理論的な枠組みと世界各地の多様な事例が、実践的な防災対策を考える上で有用であるという声が多く見られます。
防災学原論の著者情報
ベン・ワイズナーは、アメリカの地理学者であり災害研究者です。オベリン大学環境科学研究所研究員などを歴任し、災害が単なる自然現象ではなく、社会の病理現象であることを指摘し、そのモデル化と実践を通じて世界の災害観と対策指針に大きな影響を与えました。岡田憲夫は1947年生まれの工学博士で、京都大学名誉教授、関西学院大学災害復興制度研究所顧問・指定研究員を務めています。京都大学防災研究所教授、同所長などを歴任し、総合防災学、災害リスクマネジメントを専門とし、国際総合防災学会(IDRiM Society)の設立に尽力し初代会長を務めました。
防災学原論の出版社情報
築地書館は1953年に設立された日本の出版社で、昭和初期から築地で印刷や本づくりに携わっていた典文社(土井印刷)内に設立されました。生物学、生態学、地球科学、自然史、環境政策に関する研究書や一般書、翻訳書を幅広く刊行しており、人間社会やヒトの意識と自然との関わりに関する歴史書、人文書、社会書の刊行にも力を入れています。本書もその専門分野に合致する一冊であり、科学的・社会的なテーマに深く切り込む出版姿勢を特徴としています。
防災学原論を購入する前に確認したい情報
発売日は2010年12月、ISBNは9784806714125です。価格や在庫は変わるため、注文前に楽天ブックスの最新表示をご確認ください。
防災学原論の書評まとめ
『防災学原論』は、災害を社会の脆弱性という根源的な問題として捉え、そのメカニズムと対策を多角的に分析する画期的な一冊です。自然現象と人間社会の相互作用から災害を理解し、より安全でレジリエントな社会を構築するための深い洞察と実践的な指針を求める読者にとって、本書は長期にわたる学びと考察の出発点となるでしょう。


